アフィリエイト広告とオフラインを融合 宣伝効果を劇的に高める広告界の革命児
株式会社Macbee Planet 代表取締役 小嶋雄介

さまざまなサイトや記事に付き物のアフィリエイト広告(成果報酬型広告)。今やすっかりお馴染みとなったデジタル広告だが、実は、インターネットの中の「独立した世界」になっていて、TVや新聞、雑誌といった既存媒体の広告とは、意外に連動していないのだという。そんな中、アフィリエイト広告と既存媒体とのメディアミックスによって、広告効果の最大化を狙おうというネット広告業界の新興勢力が現れた。それが、Macbee Planet だ。新たな人材も続々と獲得し、事業は拡大の一途をたどっている。

同社は、ネットサービスなどを手がけるまくびーインターナショナルの広告部門が、2015年8月に分社化して誕生した。同社の小嶋雄介社長は大手広告代理店出身で、2013年にまくびーグループ入りし、設立時から同社を率いてきた。「設立当時は“オンライン広告”がメーンでしたが、自分が持っている“オフライン広告”のノウハウを融合させ、クライアントのコミュニケーション戦略をトータルサポートできる広告代理店にしたいと考えました」と振り返る。

アフィリエイトのジャンルでも、すでに専業の大手代理店が登場しており、後発だった同社は、成長戦略の柱を二つ立てた。
一つはターゲットを絞り込み、コミュニケーション戦略に深くコミットしていくこと。クライアントの業種は現在、アフィリエイトのウエートが高い美容関係と金融関係にほぼ二分されるという。

もう一つが、上記のオンラインとオフラインのメディアミックスだ。小嶋社長はこう説明する。「アフィリエイト専業の広告代理店は、確かにCPA(顧客獲得の費用対効果)といった経営数値管理には強いのですが、アフィリエイト以外のジャンルにアプローチできないという弱みもあります。

オンラインだけでなく、オフラインも活用すれば、広告効果はぐんと高まるんですね。そもそも広告のミッションというのは、目的を達するために予算のポ ートフォリオを最適化し、オンラインとオフラインをどのようにして使い分けたり、あるいはシナジーを追求したりするのか、ということになるはずです。ところが、それを実現できている広告代理店は極めて少ない。当社としては、そこが付け目だったのです」

アフィリエイト媒体の管理ではキーワードを重視

例えば、エステティックサロン「マックB」から、ネットでのコンバージョン率を上げるためのコミュニケーション戦略を同社が請け負うとすると、こんな展開になる。雑誌社や新聞社に働きかけてマックBの記事を取材してもらい、そのコンテンツをランディングページ(リンク先のウェブページ)でも配信する。または、リサーチ会社と提携してエステの人気リサーチを行い、「30代女性の満足度№1はマックB」といった調査結果をネット上でリリースするとともに、マックBの販促媒体などにも活用する。複数のメディアに同時並行で露出していくことで、相乗的な認知度アップを図るのだ。

同社が力を入れているのはアフィリエイト媒体の管理。とりわけ、重視しているのがネット検索の“キーワード”から分析できるユーザインサイトだ。「検索ワードは購買プロセスにおけるユーザ心理をダイレクトに表現します。口コミが気になるのか、価格重視なのか、人気商品を探しているのか、、、そのユーザ心理とアフィリエイト媒体上の表現、そしてランディングページ上の訴求の関連性をきめ細かく、チェックし最適化していきます。

当社では、数多ある検索キーワードに対し、どのような文脈を使えば購買に至りやすいのか、といったデータも集積しているので、アフィリエイト媒体に対し訴求方法のコンサルティングもします」(小嶋社長)。

アフィリエイト媒体のコンテンツも開発

アフィリエイト媒体向けにコンテンツを開発することもある。例えば、テレビ局と組んで情報番組に露出、局の同意を取り付けたうえで、訴求したい客層の閲覧が多いアフィリエイト媒体にも放送動画を提供する。そうすれば、アフィリエイト媒体の負担がなく、狙いどおりの表現をターゲットに伝えらえるというわけだ。

一方、新しいアフィリエイト媒体の発掘にも取り組んでいる。例えば、打ち出したいキーワードと関連性が高いサイトや記事があれば、検索で引っかかる確率が高いため、ジャンルを問わず、広告掲載を打診するという。

実際に、アフィリエイトのみでは月間コンバージョンが400件前後で推移していた美容ECを、同社が広告を手がけたところ、1年後には月間コンバージョンが約3,500件に急増した。アフィリエイトのみでは月間コンバージョンが約200件だった美容サロンも、同社が広告代理店となった結果、3年後には月間コンバージョンが約2,000件に伸びたというケースもある。

Macbee Planet は現在、売上げの過半を成果報酬型広告関連が占めている。しかし、小嶋社長は、「当社が安定的な収益を確保し、持続的に成長するためには、事業の柱を増やす必要があります。当面は成果報酬型広告に加え、オフライン広告、アフィリエイト関連のベンダーツールの三本足で地盤を固めたい」と意気込む。

アフィリエイト関連のベンダーツールとしては、すでにASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)のROAS(広告費用対効果)を一括管理するITサービスを提供している。さらに、今年10月には、アフィリエイト向けの新しいITサービスもスタートする予定だ。「AI(人工知能)を活用した、いわゆる“ロボット”で、今後は人間に代わってマーケティングを自動的にやってくれるツールになります」(小嶋社長)。

広告の仕事はクライアントとの信頼関係が重要

新規事業を拡大するには、新しい人材の新しい力も必要になってくる。同社には、2018年入社予定のインターンが5名いるが、小嶋社長は、第二新卒なども含めてさらに2〜3名を新規採用したい考えだ。
小嶋社長は、求める人物像として「これは絶対条件なんですが、真面目な人ですね」と言い切る。

「ネット広告と言うと、最先端のITといった専門性が求められると思われがちですが、実はそうではありません。広告の仕事は、クライアントとの信頼関係を築くことが非常に重要です。クライアントの期待に応えるためには、前向きで自己研鑽を怠らなかったり、常にアンテナを張って新しい情報を吸収したりする姿勢が求められます。センスや知識は後からでも身につけられます」

次の採用条件として、小嶋社長が挙げるのは「責任感の強さ」だ。クライアントのことを真剣に考えられる資質が、クライアントの信頼を勝ち得るためには欠かせないという。

中途採用については、上記の二つの条件に加え、一芸に秀でて、社会人として活躍したキャリアがあるかどうかに着目する。「ネット広告以外のジャンルでも、小さなことでもかまいません。成功体験があれば、自信がついて成長しやすいからです」という。

人物重視なので、採用試験は面接が中心。最終面接は、食事会を兼ねた意見交換会になることもあるそうだ。「やる気のある人が採用できたら、いずれは社内ベンチャーを任せてみたいですね」と、小嶋社長は語る。

日本でマーケティングを浸透させたい

現在はアフィリエイト関連業務がメーンになっているが、「クライアントの課題を解決するために、オンラインとオフラインの両方の広告プランを提案できるような人材を増やしたい」というのが、小嶋社長の意向だ。若手社員は、アフィリエイト関連部門をまず担当し、業務を一通りこなせるようになったら、オフラインなど成果報酬型広告以外のノウハウも身につけていくというキャリアプランになっている。

ただし、研修については、先輩社員がマンツーマンで新人を指導する「メンター制」しか行ってこなかったが、ノウハウを社内で共有し、水平展開するため、月1回といった定期で行う「全社員集合研修」などの実施も検討している。

小嶋社長は、「経営者は、その事業をなぜ行うのか、その事業の社会的意義とは何かを、明確に語り続けることが大切」というのが持論。「私の場合は、日本でマーケティングを浸透させたかったからです。メード・イン・ジャパンは品質がよく、宣伝しなくても売れると考えられていたため、日本ではマーケティングが発達しなかった。しかし、品質とマーケティングを武器にした外国製品が増え、日本製品の国際競争力は低下してしまいました。

今こそマーケティングが日本の産業界に貢献できるときなのです」。同社は、2019年にIPOを目指しており、その資金を元手に、次は事業をグローバル展開する方針だ。

当面のターゲットはASEAN/中国/アメリカといった、日本企業が多く進出する地域で、M&Aによる事業拡大も視野に入れる。小嶋社長は、事業構想についてこう説明する。

「かつての日本と同じように、ASEANなど新興国の企業もマーティングについて悩みを抱えているはずです。
当社のノウハウは、きっと海外でも役立つと確信しています」